今更ロボミントンを振り返る その1

投稿者: | 2016年3月23日

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序文

今月3月、大学を卒業します。卒業を前に色々思い返すと、ロボコンの話をパブリックな場所にきちんと残していなかったことに気づきました。
なので、NHK学生ロボコンにおいて僕が最後に出場した大会「ロボミントン」(2015年)について、今更ですが振り返ることにします。

概要

NHK学生ロボコンは大学生・高専生(4,5回生)が出場するロボットコンテストです。
大会のルールは毎年変わるため、毎年一からロボットを作る必要があります。

今回話題にする2015年の競技、「ロボミントン」。
タイトル通りルールはバドミントンです。

この大会で私が所属していた京都工芸繊維大学ロボコン挑戦プロジェクトForteFibreは2台の(半)自動ロボットを作成し、事前のビデオ審査によってシード権を取得し大会に出場しました。
しかし、完成度不足・大会前日のトラブル等の結果、大会当日は新潟大学との初戦で敗退しました。

大会直前に撮影した動画です。

もう一台は直前までハードの修正が行われていたため動画が殆どありません…

1台のロボットのプログラムを全て(途中から2台目も)担当しました。
以降はそのあたりを中心に記述していこうと思います。

ルール

https://youtu.be/goGL0CEcdyg

はい。バドミントンのダブルスですね。

バドミントンとの違いは、サーブドロップゾーンという黄色いエリアが設定されていることくらいです。
サーブはそのエリアに落ちなければアウトとなります。
サーブだけで試合が終わるのを防ぎたかったのでしょう。(それなら、そもそもこんなルールにするなと思いますが…)

機体アイデア

機体のサイズ制限は直径1.2m高さ1.5mの円柱形です。

機械的要素として必要になるのは以下の3つだと考えました。

  • 全方向移動可能な足回り(オムニ?4輪ステア?)
  • 打点微調整用の機構(XYテーブル等?)
  • サーブ用のアーム

二次ビデオ審査までは、以下に記述する前衛機・後衛機の2台の開発が行われました。

後衛機

足回りは使用したことのある全方向移動の足回りはオムニホイールしかなかったので、とりあえずオムニに決定。

打点微調整用の機構については、先行研究のこのロボットを参考に、X方向のレールとラケットのロール方向(?)回転の機構を採用しました。

この機構の最大のメリットは人の手首と同じような動きができるため、色々な打ち方ができることです。
下打ち固定や上打ち固定ではワンパターンで、落下点が予測しやすいですが、この機構なら、打点さえ調整できれば相手はどこに飛ぶか分かりません。

また、X-Yテーブル・X-Zテーブル等の案があったのですが、

  • X-Y(水平方向のみ)の場合、水平に飛んでくるシャトル(ドライブショット等)に対する微調整が難しい
  • X-Z(横・縦方向)の場合、垂直に落ちてくるシャトル(ハイクリア等)に対する微調整が難しい

と考えられ、斜め方向に自由度がある打点微調整機構が優位に思えます。本当かどうかは知りません。
(実際の試合では、ほとんどの大学が山なりな軌道を描くショットしか打てなかったため、X-Yテーブルで十分だったのかもしれません)

そもそも足回りだけでフィールド全域動けるんだし打点微調整機構なんて必要ないのでは、という考え方もあります。
しかし、地面との摩擦の関係による加速・減速性の悪さ、移動方向の制限等、足回りは微調整には不向きな傾向にあります。
よって、微調整用の機構は当然必要となります。

前衛機

自動ロボットには、ネットすれすれのシャトルや敵陣地にあるネットより低いシャトルを認識できない欠点があります。
この問題を克服するために、横浜国立大学のロボットのような、ラケットを大量につけた壁ロボットをもう1台として開発することになりました。

足回りは4輪ステアリングを採用していました(が、十分な設計ができていませんでした)。

この前衛機ですが、2次ビデオが終わった後、4月いっぱいで開発は打ち切られました。
この辺りの話は次回以降に回します。

また、大会全試合を通して、ネットすれすれ球は1球あったかなかったか程度でした。後から考えるとこの案は良くなかったのかもしれません。

外部デバイスについて

発表当初のルールでは、フィールド外部にカメラなどを設置することが許されるか不明であったため、ロボット本体にKinectV2を取り付けて、ロボットの1人称視点でシャトルの軌道予測を行うようにしました。

外部デバイスを許可された後も、ソフト的に外付け可能にはしたものの、

  • 本番環境で位置合わせがきちんとできるか
  • KinectV2を外付けしても視認範囲は大して広くならない
  • そもそも返球率が向上しなかった(作りこみが甘い)
  • 通信が不安定

等の理由で実用には至りませんでした。

特に、一番初めに挙げた「本番環境で位置合わせ」は最も懸念していたことでです。
当プロジェクトで用意するフィールドは非常に雑で、精度が悪いです。
このような状態で外部デバイスを用いても、本番でうまく動くとは到底考えられませんでした。

余談ですが、フィールド作製には技術的にも人柄的にも信頼できるメンバーを採用するべきだと強く思います。
強豪校は(ハード的・センシング的・制御的に必要な必要な部分に関しては)きちんとしたフィールドを用意しています。


センシングとか制御とかに次回にまわして、今回はこの辺りまでにしておきます。
ビミョーな終わり方になってしまった…

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